退職理由「給料が安い」の転職成功術 言い換えとOK例文で徹底解説

私⁽採用部長、中途採用に携わって20年以上₎は、経験上、転職者のほとんどが現職（前職）の給料・年収が安いというのが本当の退職理由だと感じています。
実際、厚生労働省が発表している「仕事をやめた者の退職理由」では、「給与・報酬が少なかったから」という理由が男性で 40.7％、女性で30.6％を占めています。

そんなこともあって、私が面接するとき、「給料が安い」からやめたのではないかと、まず、その先入観で応募者に向かいます。
このとき、応募者が正面切って給料の不満を回答する人は、内定や次の面接に進むことはありません。ネガティブ理由を前面に出すのは、面接では得策ではないのです。

この点、転職エージェントに登録している人は、エージェントのアドバイスで、ポジティブ理由に言い換え表現しますが、転職エージェントやキャリアドバイザーなどを利用していない、ほとんどの応募者はそのテクニックを知らないために、どんなに優秀な職歴やスキル、人柄であっても、次に進めないでいます。

面接官は、どんな退職理由であっても、「当社で、どんなメリットを生みだしてくれるか」を、応募者に回答してほしいのです。

このブログでは、給料が安い理由で退職して転職に苦労している人やどのように応募書類や面接で伝えたら内定に近づけるのか、とお悩みの方に、具体的な解決策をお伝えします。この記事を読めば、給料への不満を、あなたの成長意欲や将来への希望としてポジティブに伝えられるようになります。

「給料が安い」が退職理由の転職成功戦略

「給料が安い」はよくある転職理由ですが、そのまま回答してしまうと評価を落とす“逆効果ワード”になりかねません。

面接では不満を述べるのではなく、「成果が適切に評価される環境を求めている」などの前向きな言葉に言い換えることが重要です。ネガティブな表現は避け、成長意欲や評価制度への期待として伝える——この切り替えが、内定につながります。

「給料が安いから転職したい」──ただの不満に聞こえてしまえばマイナス評価に直結しますが、「より成果が正当に評価される環境を求めている」という成長意欲として表現できれば、一気にプラスへと転換できます。

そのためには、感情的に語るのではなく、冷静さと客観性、具体的な根拠を持って伝えることが欠かせません。
「〇年間で昇給が△万円しかなかった」「同業平均と比べて〇万円差がある」といった事実を添えれば、説得力は大幅に高まります。

ここからは、給料を理由に転職を考えるときに押さえておきたい 3つの重要ポイント を具体例とともに解説していきます。

ネガティブをポジティブへの言い換え

転職理由として「給料が安い」とそのまま伝えてしまうと、どうしてもネガティブに聞こえてしまいます。ですが、言い方ひとつで印象は大きく変えられるのです。

たとえば「給与が低いから不満」という伝え方ではなく、「努力が成果に正しく結びつく環境を求めたい」や「透明性のある評価制度のもとで挑戦したい」といった形に変えると、一気に前向きな印象になります。

面接官が採用したいのは、不満を抱えて辞める人ではなく、新しい環境で成長や挑戦を望む人材です。
だからこそ、「給料が安い」というネガティブ理由を、そのままではなく 成長意欲や未来志向の表現 に言い換えることが、信頼を得る第一歩になるのです。

面接で「給料が低い」と口にすると、どうしても会社や上司への批判のように受け取られがちです。そこで効果的なのが、「努力や成果が正しく反映される環境を求めたい」という言い換えです。これだけで印象はぐっと前向きになります。

給与は単なる不満ではなく、より良い環境を求めるための改善ポイントとして伝えるのがコツです。他の社員と比べるのではなく、自分自身の将来やキャリアの方向性に焦点を当てることで、自然で誠実な理由として受け止められます。

また、あらかじめ言い換えフレーズをいくつか準備しておけば、本番の面接でも慌てず落ち着いて話せます。ネガティブな理由を成長志向に変換できる人は、採用側からも「挑戦したい人」「将来性がある人」として期待されやすいのです。

転職理由を語る際の最大のポイントは、不満を希望や意欲に変えて伝えること。この意識ひとつで、面接の結果は大きく変わります。

面接官の視点は将来の活躍と定着性

面接官が見ているのは、給与への不満そのものではありません。

「この人は新しい会社で活躍できるか」「定着しそうか」を見ています。

つまり、転職理由から“将来の活躍”を読み取っているのです。

「給料が安いから辞めたい」とだけ伝えてしまうと、単なる不満に聞こえ、再現性（この人はまた同じ理由で辞めるのでは？）と疑われてしまいます。そこで大切なのが、将来につながる前向きな表現に変えることです。

たとえば、

• 「実力が正当に評価される環境を求めたい」
• 「役割に見合った処遇で、さらに挑戦したい」

といった言い方なら、意欲や成長志向がしっかり伝わります。

また、面接官が本当に知りたいのは「辞めた背景」よりも、「新しい環境で長く続けて成果を出してくれるか」です。だからこそ、給与への不満を語るときも「納得できる評価制度があれば長期的に働きたい」というスタンスを示すと、安心感を与えられます。

さらに「前職では〇年で評価が頭打ちになったため、より挑戦できる環境を求めた」といったように、過去から未来へ一貫したストーリーを作ることが効果的です。

給料の話題も、“不満”ではなく“将来への期待”として結びつけることが、信頼を獲得する最大のポイントです。

この項目では、面接官の視点を意識することが重要です。

「給料が安い」を数字と事実で裏づけ

給料の話をする時は、感情だけでなく、相対賃金・昇給見込み・生活実態などを簡潔に数字や事実で裏付けることが大切です。

具体的な金額や昇給の実績など、客観的な情報を使うと説得力が増します。

数字で示すことで、冷静さと根拠が伝わります。

給与を理由に転職を語るとき、感情だけに頼ると説得力が弱くなりがちです。そこで有効なのが、数字や事実を交えた説明です。

たとえば、

• 「5年間で年収が10万円しか上がらなかった」
• 「同業平均と比べて〇万円低い」

といった具体例を示すことで、主観ではなく客観的な判断として受け取ってもらえます。

ただし注意したいのは、その数字を不満げに強調するのではなく、淡々と“情報”として伝える姿勢です。感情的にならず冷静に述べることで、誠実さや信頼感が増します。

さらに、「生活費に対して収入の伸びが追いつかない」といった現実を少し添えることで人間味も伝わります。過度に言い訳をせず、事実を根拠として示すことこそ、面接官からの信用を得るポイントです。

「給料が安い」が退職理由の説得力は、一貫性・具体性・前向きの3点で

給料を理由にした転職では、伝える順番と整え方で印象が変わります。

一貫性・具体性・前向きさの3つがそろっていないと、説得力が弱くなります。

どれか1つでも欠けると、「ただの不満」に聞こえる可能性があるので注意しましょう。

ここからは、この3つを整える方法をそれぞれ具体的に紹介します。

まずは「一本の流れでつなげる話し方」から解説します。

成功は「現状」→「課題」→「志望先で実現」への一本線

転職理由を伝えるときに大切なのは、ストーリーとして一貫性を持たせることです。
「給料が安いから辞めたい」と単発で話すと、どうしても意図が伝わりにくくなってしまいます。

効果的なのは、

1. 今の状況（現職での給与や評価の実態）
2. 課題（成長や処遇における限界や改善したい点）
3. 転職後の展望（志望先で実現したいキャリアや期待する制度）

という流れで一本の線につなげることです。

これを踏まえれば、単なる不満ではなく、未来志向の転職理由として自然に伝わります。

転職理由を語るときは、現状・課題・未来の展望を一本の線で結ぶことが重要です。

たとえば──

• 現状：「年収は300万円で、ここ5年間で大きな昇給がありませんでした。」
• 課題：「努力や成果が十分に評価されていないと感じ、改善できる環境を求めています。」
• 展望：「御社の評価制度は成果が可視化され、挑戦に応じた報酬が得られると知り、大きな魅力を感じました。」

このように順序立てて話せば、単なる不満ではなく、納得感のある理由として受け止めてもらえます。

また、求人票に書かれている「成果主義」「明確な評価基準」などのキーワードを取り入れると、志望動機との一貫性も強まります。面接官からも「前向きに将来を描いている人」という印象を持たれやすくなり、誠実さや信頼感のアピールにもつながります。

つまり、給与を理由にする転職理由は、不満を語るのではなく“未来につながるストーリー”に変えることが成功の秘訣なのです。

抽象語を避け、金額・年数・制度の具体例で語る

面接で「給料が少ない」「昇給が上がらない」といった抽象的な言葉だけを使うと、どうしても説得力に欠けてしまいます。

効果的なのは、金額・年数・制度といった“固有情報”を盛り込むことです。

たとえば──

• 「年収は320万円で、ここ2年間昇給がありませんでした」
• 「評価制度は年1回の面談のみで、基準が曖昧でした」

と具体的に伝えれば、面接官も状況をイメージしやすく、納得感につながります。

抽象表現を避け、事実をもとに話すことが、信頼される転職理由につながります。

面接官にとって、「数字」や「制度」の情報があると状況をイメージしやすく、評価もしやすくなります。
「昇給が少なかった」よりも「5年間で昇給は10万円のみ」と言った方が、はるかに具体的で説得力があるのです。

また、業界平均や自社制度との比較を交えれば、主観ではなく事実に基づいた判断として伝わり、信頼を得やすくなります。

転職理由を語るときは、抽象的な言葉でぼかすのではなく、具体的な数字や仕組みを根拠として示す意識を持つことが大切です。これだけで、面接官に与える印象は大きく変わります。

現職・上司への感謝と礼節でトーンを整える

給料の話をする際、現職への不満だけを強調すると印象が悪くなります。どんなときも「お世話になった気持ち」を忘れずに伝えることが大切です。

ネガティブな内容ほど、礼儀正しく話すのが基本です。

給与を理由の転職では、感謝の言葉を添えるだけで印象は大きく変わります。
たとえば、

• 「給与面では課題がありましたが、任せてもらえた環境には感謝しています」
• 「上司にも良くしていただき、成長の機会を多くいただきました」

といった表現を加えると、ネガティブな理由が和らぎ、誠実さが伝わります。

大切なのは「不満だから辞めた」ではなく、「次のステップに進むための前向きな決断」という姿勢を示すこと。批判的にならず、自分の価値観やキャリア志向として語れば、自然で納得感のある伝え方になります。

トーンを丁寧に整え、最後に感謝を添えることで、面接官に「この人と一緒に働きたい」と思わせることができるのです。

このパートでは、感謝と配慮を忘れない姿勢が最重要です。

「給料が安い退職」の回答例文

「給料が安い」という退職理由は、面接や書類で上手に伝えるには事前に型を準備しておきましょう。

特に評価制度や成長機会への期待を中心にした言い換えがカギになります。

ここでは、NG例との比較、若手・中堅・職種別など、状況に合わせた使える表現を紹介します。

まずは基本となる「成果連動・評価透明性」を意識した表現から紹介します。

成果連動・評価透明性を求める言い換え例（OK／NG対比）

「給料が安い」退職理由は、評価制度の透明性を軸にした言い換えが有効です。

成果が評価につながる環境を求めている、という意図が伝わるようにします。

OKな表現とNGな表現の違いを明確に押さえましょう。

OK表現では、不満を避けながら前向きな期待を伝えています。制度や仕組みへの関心を見せることで、企業との相性もアピールできます。

自分の努力を正当に評価されたいという姿勢は、働くうえでの基本姿勢として高く評価されます。

一方、NG表現は攻撃的に聞こえるため、印象を悪くします。不満ではなく、希望として言い換える習慣をつけましょう。

この項目では「言い換えの型」を自分のモノにすることがポイントです。

若手や第二新卒向け例文　成長投資を軸にする

若手や第二新卒の「給料が安い」理由での転職では、給料より、学習・資格・実務幅などの「成長機会」を強調するのが自然です。

学びや挑戦の場を求めて転職を考えるという形で話すと効果的です。

「成長意欲＋学びの投資」への期待がカギです。

若手や第二新卒の場合、転職理由を語るときは 給与の不満を直接口にするよりも「成長の場を求めている」 という切り口が効果的です。

たとえば、

• 「現職では基本的な業務には携われましたが、より幅広い経験や資格取得支援を通じて成長したいと考えました。」
• 「貴社の教育体制やチャレンジできる社風に魅力を感じ、志望いたしました。」

このように伝えると、単なる待遇改善ではなく、長期的なキャリア形成を意識している姿勢が伝わります。

ポイントは、給与を「目的」ではなく「成長の結果」として位置づけること。
「長く働きながらスキルを高めていきたい」という一言を添えると、さらに説得力が増します。

若手層にとって最も重要なのは、学びや挑戦に対する意欲。それを軸に語ることで、採用側にも「将来性のある人材」として映ります。

中堅やリーダー層向け例文　役割拡大・権限と処遇の乖離を整える

中堅やリーダー層になると、処遇と責任のバランスが転職理由になることが多くなります。与えられた役割に対して、適切な評価がなされていないと感じる点を伝えましょう。

ポイントは「乖離の説明」と「志望先での再調整」

キャリアの途中段階にいる中堅・リーダー層が給与を理由に転職を語る場合は、処遇と責任のバランスに焦点を当てると自然です。

たとえば──

• 「チームリーダーとしてマネジメントにも関わるようになった一方、処遇や評価が役割に見合っていないと感じました。」
• 「貴社の評価制度は職責と成果に対する透明性が高く、長期的に貢献できる環境だと考え志望しました。」

このように伝えれば、「給与に不満」ではなく、役割に見合った環境を求めている前向きな姿勢として受け止められます。

「給料が安い」という直接的な表現を避け、**「職責にふさわしい処遇を重視している」**と置き換えることで、印象は大きく変わります。面接官にも誠実で論理的な理由として納得してもらいやすくなるのです。

職種別サンプル　成果指標の書き換えが大事

営業や事務、ITなどでは、職種によって、給与や評価に対する考え方や基準が違います。

そのため、転職理由を語る際は、それぞれの職種に合った表現を使うことが大切です。

評価指標に合わせて言い回しを変えましょう。

給与を理由に転職を語るときは、自分の職種特有の評価軸を踏まえて説明することが大切です。

たとえば──

• 営業職：「目標達成率120％を2年継続しましたが、成果と連動した昇給がなく、実力に応じた処遇を求めて転職を決意しました。」
• 事務職：「繁忙期の残業や業務量に見合う評価が不明瞭で、貢献度に応じた処遇が明確な職場を希望しました。」
• IT職：「システムの安定運用や新機能導入の実績に対して処遇の変化がなく、技術力を評価される環境に身を置きたいと考えました。」

このように、「何を成果として出してきたか」「それがどう評価されたか」「今後どう評価されたいか」を明確に言語化することで、説得力が高まります。

職種ごとの“評価されづらさ”を説明できれば、採用側も「うちなら改善できる」とイメージしやすく、志望先とのマッチング度も上がります。

つまり、転職理由を語る際は、職種に合わせた評価指標を押さえて話を組み立てることが成功のカギです。

応募書類、面接、退職申し出別ガイド

「給料が安い」という理由を伝えるときは、当然ですが、場面に応じて言い方を変えることが大切です。

書類・面接・現職への伝え方、それぞれの場面で使う言葉や順番に注意が必要になってきます。

ここからは、3つの場面別に具体的なコツと例文を紹介します。

まずは、履歴書・職務経歴書での見せ方から見ていきましょう。

履歴書・職務経歴書　見出し・一文要約・実績・志望の順

履歴書や職務経歴書を書くときに意外と見落としがちなのが、情報を載せる順番です。内容そのものが良くても、構成がバラバラだと相手に伝わりにくくなってしまいます。

効果的なのは、

1. 見出し
2. 要約（転職理由の一文）
3. 実績（数字や成果）
4. 志望動機

という順番で整理することです。

この流れに沿って並べるだけで、「理由 → 根拠 → 未来」という一貫性が生まれ、読み手は自然に納得できます。結果として、同じ内容でも説得力がぐっと高まり、面接へ進める可能性も大きく広がります。

履歴書や職務経歴書では、ただ事実を書くだけではなく、読み手が一瞬で理解できる構成に整えることが重要です。

たとえば──

• 転職理由：「3年間で売上前年比120％を達成し続けたが、昇給実績に変化がなかった」
• 実績：「営業成績トップ10を維持し、複数の新規顧客を獲得」
• 志望動機：「成果が正当に評価される制度に魅力を感じ、貴社を志望しました」

このように「理由 → 実績 → 志望動機」を見出しごとに整理するだけで、一目でストーリーが伝わりやすくなります。

大切なのは、面接官が数十秒の斜め読みでも「なぜ転職するのか」「どんな実績があるのか」「なぜこの会社なのか」を理解できること。つまり、書類は「見た瞬間にわかる」が最大のポイントです。

レイアウトと順番を意識して整えることが、書類選考突破の近道になります。

面接　結論・数値補足・志望動機接続の3ステップ話法

面接では、理由をダラダラ話すより、結論を先に伝える方が印象が良くなります。

次に、数字や制度で補足してから、志望動機につなげるのが理想です。

この3ステップを覚えておきましょう。

面接で給与を理由に転職を語るときは、話す順番を意識するだけで印象が大きく変わります。おすすめなのが、次の3ステップ話法です。

1. 結論を先に伝える
   　「現職では実績に対して昇給が見合わず、評価制度に限界を感じました。」
2. 数字や事実で補足する
   　「たとえば、3年間連続で営業成績トップ10入りを維持しましたが、年収はほぼ横ばいでした。」
3. 志望動機につなげる
   　「御社では成果に応じた昇給・昇進の制度が整っており、挑戦意欲を持って働けると感じました。」

この流れなら、単なる不満ではなく、前向きな期待や成長意欲として受け止めてもらえます。さらに数字を加えることで、感情論ではなく事実に基づいた理由として説得力もアップ。

この3ステップ話法は、給与の話に限らず「転職理由」や「自己PR」など、他の質問にも応用できる便利な型です。

現職へ退職の伝え方　相談ベース→引き継ぎ提案→感謝

現職への退職理由の伝え方にも気を配りましょう。角が立たず、誠実な印象を残すためには「相談」から始めるのが鉄則です。

段階的に伝えることで、円満退職につながります。

退職理由に給与面の課題があったとしても、現職に対して直接「給料が安いから辞めます」と伝えるのはNGです。印象を悪くしないためには、順序とトーンを意識しましょう。

効果的なのは、次の3ステップです。

1. 相談ベースで切り出す
   　「今後のキャリアについて相談させていただきたいことがあります。」
2. 引き継ぎの意思を示す
   　「業務については、しっかり引き継ぎを行い、チームに負担が出ないよう調整いたします。」
3. 感謝の言葉で締める
   　「これまで多くの学びと経験をいただき、心から感謝しております。」

この流れで伝えれば、誠意を持って円満退職を進めている人として受け止めてもらえます。

給与の不満が理由であっても、あくまで「次の挑戦」や「キャリアの方向性」として表現することが大切です。批判ではなく感謝を軸に据えることで、最後まで信頼関係を保ちながら前に進むことができます。

NGになりやすい言い方と回避策

給与を理由に転職を考えるのは珍しいことではありません。ですが、そのままの言葉で話すと、信頼を損ねてしまうリスクがあります。

ここからは、NG表現とその回避策について、具体的に見ていきましょう。

「金額だけ」を強調／前職攻撃になる表現の避け方

給与の数字だけを強く言うと、金銭欲が強すぎる印象になります。さらに「前の会社が悪い」というニュアンスは、確実にマイナスです。

原因ではなく「価値観の違い」として表現を変えましょう。

転職理由を語るときは、感情的な不満表現を避けることが鉄則です。
「前の会社が悪かった」「待遇がひどかった」といった言葉は攻撃的に聞こえ、面接官にマイナス印象を与えてしまいます。

代わりに、制度や環境に注目して 「もっと自分に合う場所を探したい」 と言い換えるのが効果的です。
たとえば──

• NG：「給与が安すぎてやってられない」
• OK：「成果に対して正当に評価される環境を求めています」
• NG：「前の会社は全然上がらなかった」
• OK：「評価制度に成長の限界を感じ、新しい挑戦を求めています」

このように、不満→希望への変換を意識するだけで、印象は大きく改善します。冷静に「価値観の違い」と伝えれば、面接官にも納得感を与えられるのです。

こうした「代替フレーズのストック」を用意しておけば、本番でも落ち着いて話すことができ、安心して面接に臨めます。

将来像がない主張・根拠のない相場感の回避（調査の当てどころ）

「今より高い給料がほしい」だけでは、採用側に納得してもらえません。将来どうなりたいか、そのための転職だと伝える必要があります。

また、相場感には「根拠となる調査」が必要です。

給与を理由に転職を語るときは、将来の目標と客観的な根拠を組み合わせることが大切です。

たとえば──

• 「3年後にマネジメント経験を積みたい」
• 「資格を活かして業務の幅を広げたい」

といった目標を示すと、ただの待遇改善ではなく、成長に向けた前向きな決断であることが伝わります。

さらに、転職サイトや統計データを参考にして「業界平均と比較して〇万円低かった」と具体的に伝えれば、感情ではなく事実に基づいた判断として説得力が増します。出典を詳しく述べる必要はなく、「業界平均と比べて」という一言で十分です。

逆に、相場感を持たずに「もっと欲しい」と言ってしまうと、感情的・思いつきに聞こえてしまい、信頼を損なうリスクがあります。

つまり、転職理由を語るときは 「数字＋将来像」をセットで話すことが、納得感を高める最大のポイントです。

会社・前職への不満はNG

どんな理由であっても、「前の会社が悪かった」と言うのは避けるべきです。それを聞いた面接官は、「この人はうちに来ても文句を言うのでは」「他責な性格なのでは」と不安に感じます。

不満は「次に期待すること」に変えて話しましょう。

面接で給与の話をするときに、ただ「不満」を並べてしまうと、他責思考の人だと受け取られるリスクがあります。

そこで大切なのは、表現を切り替えること。

• NG：「給料が低すぎて不満でした」
• OK：「努力が成果として正しく評価される環境で働きたいと思いました」

このように、「どんな環境で働きたいか」という希望に言い換えるだけで、印象はぐっと前向きになります。

また、「会社が悪かった」と感情的に語るよりも、「自分の働き方に合わなかった」と伝えた方が、自然で誠実に聞こえます。

転職理由は、単なる愚痴ではなく、未来への希望やキャリアの方向性として語ることがポイントです。面接官に「この人と一緒に働きたい」と思わせる表現を選びましょう。

「給料が安い」理由で退職は志望動機との“一貫性”が大事

「給料が安い」と感じて転職を考えるとき、志望動機とのつながりが弱いと説得力がなくなります。本音は給与でも、志望先に共感している点と組み合わせることが大切です。

ここでは、志望動機にどう組み込むかを具体的に解説します。

まずは、仕事内容・評価制度・報酬体系との一致を明確にする方法から見ていきましょう。

仕事内容・評価制度・報酬体系の一致を示す

志望動機では「仕事内容」「評価制度」「報酬体系」のどこかが、転職理由と一致していることを示しましょう。

求人要項に書かれているキーワードをうまく使うと、より説得力が増します。

「御社だから選んだ」理由が伝わるようにします。

給与を理由に転職を語るときでも、そのままでは「条件だけで選んでいる」と思われがちです。そこで有効なのが、求人要件に書かれている言葉を引用して伝えることです。

たとえば──

• 「貴社の“成果に応じた昇給制度”に魅力を感じ、自分の努力と結果が適切に評価される環境だと考えました。」
• 「前職では評価基準が不明瞭だったため、明確な制度のもとで働きたいと考えるようになりました。」

このように求人票のフレーズを盛り込めば、「きちんと調べた上で応募している」という本気度が伝わります。

さらに「過去の経験が活かせる仕事内容」と「報酬体系」がセットで語れると、志望動機の一貫性がぐっと強まります。

つまり、給与を理由にしても、求人情報との“言葉の噛み合わせ”を意識するだけで、自然で説得力のある志望動機に変えることができるのです。

「年収アップ」だけに依存しない

志望動機が「給料を上げたい」だけだと、短期目的に見られかねません。年収は大切でも、それだけでは採用側の心を動かせません。

成長・裁量・会社のミッションなどと組み合わせて話すことが大切です。

転職理由を語るときに「給与アップ」だけを前面に出すと、どうしても短期的な印象になりがちです。そこで効果的なのが、複数の軸を組み合わせて志望理由を構成することです。

たとえば──

• 「もちろん報酬も大切ですが、自身のスキルをさらに伸ばし、将来的にはチームをけん引できる人材になりたいと考えています。」
• 「貴社の“挑戦を歓迎する風土”に魅力を感じ、成長環境として最適だと考え志望しました。」

このように 「給与＋成長＋会社への共感」 を組み合わせると、単なる条件面だけではなく、本気でその会社でキャリアを築きたいという意志が伝わります。

また、給与を「目的」ではなく「成長や挑戦の結果」として位置づけることで、前向きで長期的なスタンスを示せます。採用側にとっても、「働く理由を複数持っている人＝長く定着してくれそうな人材」という安心感につながります。

つまり、志望理由を語るときは 「給与＋成長＋共感」 の三本柱で組み立てることが成功のカギです。

給与交渉・市場確認の準備

転職活動では、どこかのタイミングで給与交渉の場面が出てきます。

そのときの準備不足や伝え方次第で、チャンスを逃すこともあります。

ここでは、交渉の場面での考え方と、根拠となる材料の整え方を紹介します。

給与交渉は「タイミング」と「トーン」が決め手

給与の話をするタイミングはとても重要です。早すぎると「条件だけの人」に見られ、遅すぎると交渉の余地がなくなります。

基本は“内定前後で分ける”意識が大切です。

転職活動では、どこかの段階で給与について話す場面が訪れます。その際に重要なのが、**いつ話すか（タイミング）とどう伝えるか（トーン）**です。

• 内定前は質問レベルにとどめる
  　例：「貴社の評価制度についてお伺いしたいのですが、昇給のタイミングや基準はどのようになっていますか？」
• 内定後は根拠を添えて丁寧に相談する
  　例：「提示いただいた条件について、もし調整が可能であれば前職での実績を踏まえ、再度ご相談させていただけると幸いです。」

このように、内定前は「情報収集」、内定後は「具体的な相談」と切り分けるのがポイントです。

また、交渉の場では相手の条件をまず受け止め、対立ではなく相談ベースで話す姿勢を見せることが大切です。誠実で柔らかいトーンを意識するだけで、同じ要望でも印象が大きく変わります。

給与交渉を成功させる鍵は、まさにこの 「タイミング」と「トーン」 にあります。

給与交渉は「数字・実績・理由」の根拠資料3点セットで

給与交渉をするときに「希望額の根拠」がないと、ただの希望になってしまいます。自分の実績や業界相場、オファー内容を比較して話すと説得力が増します。

交渉前に、以下の情報をメモで整理しておくと安心です。

給与交渉を行う際に大切なのは、感情ではなく根拠を示すことです。

まずは、自分の成果をできるだけ具体的に整理しましょう。
たとえば──

• 「売上前年比130％を2年継続」
• 「国家資格を取得し、業務範囲が拡大」

といった実績は、数字や資格名を入れることで説得力が一気に高まります。

次に、ネットで公開されている転職サイトや調査データを参考に、業界や職種の平均年収を確認しておきましょう。これにより、主張に客観性を持たせることができます。

そして、企業から提示された金額との差分については、「なぜ調整をお願いしたいのか」を明確に伝えることがポイントです。単なる希望ではなく、「責任や成果との乖離を埋めたい」という形で理由を添えることで、好印象を与えられます。

交渉の場では、一方的な要求ではなく、「数字・実績・理由」の3点セットを押さえた“相談”として話すことが、成功のカギとなります。

仕上げチェックリスト

ここまでの内容を踏まえたうえで、最後に「伝え方の最終チェック」を行いましょう。

給与を理由にする転職理由でも、3つの視点を押さえていれば十分に前向きな印象を与えられます。

面接でも書類でも、冒頭で伝える内容が3行でスッとまとまっているかどうかが大きなポイントになります。どれだけ良い中身を書いても、長すぎたり抽象的すぎたりすると相手に届きにくいのです。

効果的なのは、理由 → 根拠 → 将来像の流れで整理すること。さらに、数字や固有名詞を入れると説得力が格段に増します。
たとえば──

• 「年収320万円」
• 「評価面談は年1回のみ」
• 「昇給実績は3年間で5万円」

といった具体的な事実を添えるだけで、感情論ではなく現実に基づいた判断として伝わります。

そして最後は必ず「不満」ではなく感謝と前向きな意欲で締めくくることが重要です。
例：「この経験を通して、より挑戦できる環境を求めたいと思うようになりました。前職には感謝しています。」

このように整えることで、誠実さと成長意欲の両方を印象づけられます。転職理由は内容だけでなく、どう伝えるか＝整え方が最終的な評価を左右する仕上げのカギとなるのです。

まとめ

「給料が安い」という理由は、言い方次第で大きなチャンスにもマイナス評価にもなります。評価制度や成長機会への期待に言い換えることで、前向きな印象を与えることができます。

面接や書類では、数字や事実を交えて説得力を高めながら、志望動機や将来のビジョンにつなげるストーリー構成を意識しましょう。

まずは自分の言い換えフレーズやストーリーを整理して、面接でも安心して話せる準備をしておきましょう！

よくあるQ＆A

「給料が安い」を転職理由としてどう伝えるのが正解？

「給料が安い」という理由は、そのまま伝えると不満と受け取られがちですが、「成果に対して正当に評価される環境を求めている」「努力が報酬に反映される仕組みのある会社で挑戦したい」といった前向きな表現に言い換えることで、成長意欲のある人物として好印象を与えることができます。

面接で「給料が低かった」と伝える場合の注意点は？

面接では感情的な不満ではなく、客観的な事実をもとに冷静に伝えることが大切です。たとえば「5年間で昇給が10万円にとどまっていた」「業界平均と比較して年収が○万円低かった」など、数字や制度の背景を添えると説得力が増します。あわせて「貴社の明確な評価制度に魅力を感じた」と志望動機に結びつけると効果的です。

「給料が安い」ことを履歴書や職務経歴書にどう書けばいい？

「給料が安い」という直接的な表現は避け、「成果に対して昇給の反映が乏しかった」「評価制度に改善の余地を感じた」などの言い換えが有効です。構成としては、①転職理由を一文で要約 → ②業績や成果などの実績 → ③志望動機 という順番で整理すると、読み手に伝わりやすくなります。

現職に「給料が低いから辞める」と伝えても大丈夫？

現職に退職理由を伝える際は、「給料が低いから」と感情的に言うのではなく、「今後のキャリアを見据え、より成長できる環境を目指したい」といった前向きな形で伝えるのがベストです。さらに、「引き継ぎは責任を持って対応する」「今までのご指導に感謝している」といった誠意ある姿勢を見せると、円満退職につながります。

「給料が安い」ことを志望動機にどうつなげればいい？

給料への不満をそのまま志望動機にすると、「条件だけで転職している」と思われるリスクがあります。「評価制度が明確な環境で挑戦したい」「成果が正当に報酬に反映される仕組みに魅力を感じた」といった表現で、企業の制度や社風とマッチしていることを強調しましょう。さらに「成長機会」「キャリアの方向性」など、報酬以外の理由も組み合わせると説得力が高まります。

どんな言い方がNG？どんな表現に言い換えるべき？

NGな言い方は、「給料が安すぎて生活できない」「前の会社は評価してくれなかった」といった、不満や攻撃的に聞こえる表現です。代わりに「成果が報酬に正しく反映される環境を希望」「役割と処遇のバランスを大切にしたい」といった、価値観の違いに焦点を当てた言い換えが効果的です。

「給料が安い」退職理由で印象を良くするコツは？

不満をそのまま言うのではなく、「自分のキャリアに合った環境を探している」「成果に応じた評価を求めている」という前向きな目的に変換することが重要です。また、数字や評価制度などの事実を根拠として伝え、「前職にも感謝している」というトーンで締めくくると、誠実で信頼される印象になります。